法人概要

ご挨拶

脳卒中は、脳血管疾患のうち、脳梗塞、脳内内出血、くも膜下出血の総称です。脳卒中は、戦後約30年に渡り日本人の死亡原因の1位を占めてきました。現在でも4位であり、いわゆる「寝たきり」の原因の1位です。脳卒中は、一昔前まで、「中風」「中気」「あたる」などといわれ、原因の特定の難しい病気でした。その後、1980年代に入りMRI診断方法が開発され、初期治療の方法が確立し、死亡率は低下していきました。

しかし、日本人の脳卒中の発症率は、依然高いままです。食生活の変化によって脳内出血の割合が低下したり、脳梗塞の割合が増加したりするものの、発症率はあまり変りません。死亡率が低下し、発症率が以前のままということは、後遺症に悩む人の発生率が上昇しているということになります。医療体制が確立して、後遺症が出ない人も増えています。しかし、1分1秒を争う救急医療が必要な脳卒中は、余程運が良くない限り、何だかの後遺症が残るのが一般的です。

英語では脳卒中のことを”Stroke (一撃)”と呼び、本人の生活はもとより、家族や周囲の人々の生活を一変させてしまいます。脳卒中の当事者は、多くの場合、仕事を失うなど、発病前の生活には戻れませんし、運良く仕事を失わなかったとしても、多くの制約を受けてしまいます。発病前の身体に戻したいと思ってリハビリテーションに励みますが、ある程度の時間が過ぎると回復の速度は遅くなり、場合によっては自分や家族にあたってしまい、精神的に病んでしまうこともあります。

「脳卒中者友の会」は、脳卒中によって何だかの後遺症が残ってしまった患者の会です。脳卒中は、脳に障害を残す病気ですから、その後遺症も様々です。それにプラスして、生活環境も様々です。後遺症は片麻痺の人が多いですが、右麻痺、左麻痺で生活自体は大きく変ってきます。偶然、左利きの人が右麻痺になり、利き手の自由が残ったとしても、高次脳機能障害で言葉が上手く話せなくなることが多く見られます。だからといって、右麻痺が、必ずしも言葉の自由を奪うわけではありません。類型はあるにしろ、脳卒中の患者の数だけ、後遺症はあるのです。

脳卒中の患者は、後遺症を持った身体で目的を達成するために、2つのアプローチを試みます。1つは、自分の身体を発症以前に戻そうとする、リハビリテーション的アプローチ。もう一つは、後遺症のある身体で目的のことを達成する工夫的アプローチ。大体の場合は、この2つのアプローチを組み合わせながら目的を達していきます。

リハビリテーション的アプローチ、つまり治療やリハビリテーションの方法は、日進月歩です。テレビなどのマスコミで取り上げられるのは、方法論が確立してからです。まして、脳卒中の患者自身の工夫は、脳卒中の患者自身の言葉からしか学び取ることはできません。

この2つのアプローチを同時に、しかもバランス良くアドバイスできる可能性があるのは、「経験したことのある人」だけだと思います。そういう意味で、患者会つまり「脳卒中者友の会」に参加する意義はあると思います。

「脳卒中者友の会」は、患者になっていろいろな経験をした人が、患者になってまだどうして良いのか分からない人に様々な経験を伝える会です。私も入会してから、こんなこともできるんだと感心させられることがいっぱいありましたし、多くの相談にものってもらいました。片麻痺の人が、美味い料理を作ったり、水泳に挑戦したり、車の運転をしたり、電動車椅子で飛行機に乗る方法を考えたり、夢が広がる会です。

コロナ禍で、リアルで逢うことが難しくなりましたが、その一方で、遠方からリモートで参加出来るようになりました。「災い転じて福となす」ですね。我々の病気と同じだと思わざるを得ません。

この会に所属する人は、一度は身体や脳が働かないことに1回は絶望を覚えた人ばかりです。今、リアルタイムで絶望から這い上がろうとしている人もいます。生きるヒントは、必ず見つかります。自分の絶望が、誰かの希望になるかもしれません。入会をお待ちしています。

理事長 石川順一


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設立趣旨

日本全国における脳卒中者数は近年特に増え続け、推計ながら170万人を超えると言われています。脳卒中の発症が全て死に繋がっていた過去の時代から現在では科学の発達により脳卒中による死亡が著しく減少しました。

しかしそのために後遺症としての片麻痺を中心とした様々な障害を持ち、再発の心配など健康上の不安を抱える脳卒中者はかえって増加しています。

さらに高齢者の増加や生活様式の変化により発症する人は増加する一方で、介護保険の要介護認定者の3割が脳卒中者だと言われています。

このような脳卒中者の多くは、現在の社会状況では十分な医療や機能訓練を受けられず病院を退院した途端に不自由な身体で不安な状況で独り寂しく 過ごすことになります。
何とかしようと思っても、仲間もおらず情報も得られず生活の援助としての福祉の制度も十分に受けられず、生活していくことが難しい状況となります。ひいては孤独の殻に閉じこもり、機能低下を増長し寝たきり状態へと加速されます。

このような時に脳卒中者同士の交流とその中で得られる情報がいかに大きな励ましとなり生きる力を沸き立たせるか図りしれません。

こんな脳卒中者同士の交流が形となり、各地で様々な形態の様々な規模の「脳卒中者友の会」が誕生しました。

そして多くの会が各地で夫々に交流や情報交換などを行っておりますが、各友の会だけでは交流や情報交換の広がりは不十分であり、脳卒中者にとって有益な情報が十分に得られず、何よりも国の制度である医療や福祉の制度に対しては対応が困難です。

このような問題を改善していくことを目的として、平成8年の「全国脳卒中者友の会代表者会議」におきまして、全国組織を設立することを決議し準備を進めてまいりましたが、平成9年5月に全国の脳卒中者に呼びかけて「NPO法人日本脳卒中者友の会」を設立致しました。


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目  的

各友の会相互の交流と情報交換を行い、脳卒中者にとって有益な情報を提供し、脳卒中者にとっての医療・保険・福祉の向上を図り、自立と社会参 加を促進する。

また、脳卒中に関する正しい知識の普及および予防に関する社会啓発を促進する。


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事  業

1)全国交流大会の開催(年1回)
全国の脳卒中者が一同に集い交流を楽しみます。各友の会相互の交流や情報交換にもなることでしょう。また、観光や社会見学など旅行を兼ねて行い、日頃の生活の目標として励みとなることでしょう。

2)脳卒中に関する知識の普及や予防の啓発のための事業
脳卒中者が再発を起こさないように、また寝たきりや認知症など要介護状態にならないように、さらには一般の方々が脳卒中にかからないように、脳卒中の病気や障害やそれに対する援助の理解や予防の重要性とその方法について学習し社会啓発を行います。

3)リハビリ海外旅行の実施
『海外旅行は最高のリハビリ!』との実感が次々と寄せられているが、未体験や少人数の 会では困難なため、当連合会で実施出来ていない友の会や脳卒中者にも参加頂き実施します。

4)情報誌の発行(年2回)
脳卒中者にとって有益で全国的な質の高い情報を盛り沢山でお伝えします。
(例)脳卒中の理解と再発予防、片麻痺障害の理解とリハビリ、片麻痺障害者の福祉制度、全国の友の会活動の紹介、脳卒中体験記、連合会の状況報告、最新の情報、相談コーナー、他

5)医療・保健・福祉などの制度を改善するための事業
医療・保健・福祉の制度について、脳卒中者にとっての問題点や活用につ いて調査研究し 行政に対して改善を働きかけます。

6)その他本連合会の目標達成に必要な事業


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